アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
もう離れられなくて#19
-
「どこへ行く?」
ここに来て、初めての奏楽さんからの質問。
僕を乗せてから迷いもせず、真っ直ぐショッピングモールに行くものだから
てっきり今日の予定は奏楽さんの中で決まっていると思っていた。
「ど…どこでもいいです。奏楽さんはどこか行きたいところとかありますか?」
「そうだなぁ。……カラオケでも行くか。」
!!!
奏楽さんとカラオケ。
なんて贅沢なんだ、僕。
でも、僕本当に、歌には自信ないんですが…。
現役バリバリミュージシャンの奏楽さんの前で歌えるものなんて…。
「…嫌か?」
「行きたいです!!」
して、次の目的地は飲み物の持ち込みが許可されているカラオケ店に決まったのであった。
うん、だってほら。
まだタピオカたくさん残ってるから。
「只今混み合っておりまして、ライブルームへのご案内になりますがよろしいでしょうか?」
「大丈夫です。」
「では二階36番のお部屋になります。ごゆっくりどうぞ〜。」
「後でお冷や持ってきて下さい。」
「かしこまりました〜。」
奏楽さんと店員さんの会話をぼーっと聞いて
指示された部屋に向かう。
慣れたように店員さんとやり取りする奏楽さんを
やっぱり格好良いなんて、少し見惚れたりしながら。
お冷やって。
お冷やってパッと出てくる大人、格好いいなぁ
僕ならお水って言っちゃうし。
階段を登る奏楽さんの背中にすら、恋をする。
隣や、前にいる時には、何となくあまり奏楽さんを見る事が出来ないから。
でも今この後ろ姿だけは、見放題な気がして。
奏楽さんをしっかりと目に焼き付けておいた。
部屋に入るや否や灰皿の確認をする奏楽さん。
マイクを手に取り、音量とエコーの調節をかける奏楽さん。
あー、はーって音や息をマイクに拾わせて、
本体に付いてるレバーをクルクル回す奏楽さん。
…と、少しして満足そうにこちらを振り返る奏楽さん。
勿論バッチリ目があってしまって
すぐに恥ずかしさが押し寄せた。
「…よし。何か入れな。お前の歌声を聴いてみたい。」
奏楽さんみたいに上手じゃないけど
そんな、僕なんかのでよければ。
奏楽さんが聴きたいと言ってくれるなら
いくらでも。
「…っ、はい!」
僕はデンモクに手をかけて、
電車の中で聴いた曲たちの中から
奏楽さんを思い浮かべたあの歌を入れた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
35 / 95