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もう離れられなくて#21
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「っそ、奏楽さんは歌わないんですか…?」
奏楽さんが近すぎて、とてもじゃないけど落ち着いてなんていられない。
せめて、奏楽さんが歌でも歌っていてくれれば
その間ぐらい休憩できるのに。
奏楽さんは、さっきから履歴を眺めているだけで
全然曲を入れようとしない。
ほら、タピオカ、氷溶けちゃってますよ。
絶対薄くてまずいメロンソーダ出来上がってますよ。
いいんですか、僕をかまってていいんですか。
「そうだな。…何か入れるか。」
よし、そうですそうです。
お願いしますそして僕の肩を掴んでいる手を
離してはいただけないでしょうか?
これ以上は、心臓が持ちません。
奏楽さんは、履歴の一番上までスクロールすると、
僕が歌った曲に触れた。
「お前、Ame好きなのか?」
「あ、いえ…Ameの曲これしか知らない、です…。」
「そうか。」
奏楽さんは、Ameの曲を見ているようだった。
先述の通り、僕はあまりアーティストで曲を好きになったりはしない。
だからAmeの曲も、たまたまテレビで流れたこの1曲しか知らないのだ。
でも、奏楽さんがAmeを知ってるのは驚いた。
やっぱり色んな歌手に詳しかったりするんだろうか。
「Ameのね、何だったかな…俺が高校生の時に凄い好きな歌があったんだよ。
覚えてるかなぁ……あー、あった。これだ。」
奏楽さんはそんな事を呟くと、ある曲を送信した。
奏楽さんの高校生時代…とか、
もう僕はそこが気になって仕方がない。
いつか奏楽さんの昔の話を聞ける日が来たりするのかな。
聞けたらいいな。
まだ、今の僕にそんな事を聞く勇気はないのだけど。
スクリーンに映し出された僕の知らないAmeの曲。
題になっているのは確か、
昔授業で習った気がする星の名前だ。
「美晴これ歌えるようになれよ。お前の声で聴きたいから。」
「っえ…?!そんな急に…。」
僕の反論しかけた小さな声は、イントロにかき消された。
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