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もう離れられなくて#24
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恥ずかしくも楽しい3時間が終わりを迎え、
僕たちは再び奏楽さんの車へ戻った。
「これからどうするかなぁ。」
奏楽さんは、窓を少しだけ開けると
ポケットからタバコを取り出す。
なんとなく、匂いはしたからわかっていたけど
奏楽さんがタバコを吸っている姿を見るのは初めてで
僕と違って、大人な雰囲気がして
やっぱりかっこよかった。
僕も吸ってみようかな…。
……あと3年したら。
元が生真面目なので仕方ない。
窓の外に消えていく白い煙を眺める。
独特なタバコの匂いと、芳香剤のムスクの香りが混じって
何とも言えない大人の香り。
そんな静かな空間の中、僕のお腹は空気も読まずに
全く可愛くない音を鳴らした。
だって朝は、冷蔵庫に入っていたチーズを2つ口に入れただけだし、
昼なんて食事をとっている暇もなく、
ナベに連れ回されたんだから今日の僕の食事と言えば、あの可愛らしい黒い塊オンリーだ。
運悪く、その音は奏楽さんにも聞こえてしまったらしく、
タバコを口にくわえたまま横目でチラリと僕を見ると、奏楽さんはふっと小さく息をこぼした。
「なんだ、お腹空いたのか。」
「っあ……はい、ちょっとだけ…?」
嘘です。
全然ちょっとじゃありません。
奏楽さんは、しばらく考えるそぶりを見せると
灰皿に持っていたそれを落とし、口を開いた。
「…俺のオススメのラーメン屋にでも行くか。」
「えっいいんですか…?」
奏楽さんは肯定を示すようにハンドルを持ち直すと、
少しあらめの運転を再開した。
奏楽さんのお勧めのラーメン…。
別に、ラーメンにこだわりがあったわけでは無いけれど、
奏楽さんの好きなもの、
奏楽さんの好きな場所、
奏楽さんの行き慣れた所に
僕を連れて行ってもらえるのは凄く嬉しい事だ。
それにしても、奏楽さんはなんなら僕よりも
この辺の道に詳しい気がする。
ナビを使うでもなく、迷うことなく目的地にたどりついている。
さっきだって、オススメって事は
それなりに行ったことがあるお店だと言うことだろう。
「奏楽さんってこの辺に住んでるんですか?」
奏楽さんは、何言ってるんだお前とでも言うような表情でこちらを見た。
「え、お前知らないのか?
俺お前の学校の教師と同級生だぞ。」
いや、知るわけないじゃないですか。
でも確かに、こんな特別有名でもない、
お金だってあまりなさそうな古い造りの校舎の学校。
奏楽さん…と言うよりRickyを
簡単にゲストとして招く事なんて難しいだろう。
「…え、と…それって因みに誰ですか?」
「高木って奴いるだろ、あの無愛想な。アイツだよ。」
お前かーーーい。
僕は心の中で、意地悪く笑うあいつを思い浮かべて
盛大に突っ込んだ。
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