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もう離れられなくて#26
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「さ、行くぞ。」
到着したのは、狭く入り組んだ道を通り抜けた先で、
何やらユニークな外装をした少し古い店だった。
看板を見るに、これが俗に言う
『家系ラーメン』ってやつだろうか。
「いらっしゃーい。」
ユニークだったのは外装だけではなかったらしい。
壁全体は赤と黒のチェック。
そこかしこにスカルや海賊の旗みたいな。
とにかく、趣味の癖がすごい。
「ここさ、こんなんだけど味はうまいんだよ。」
奏楽さんは、呆気にとらわれる僕を放って
さっさと奥に進んでいってしまう。
慌ててついていくと、座敷が広がっていた。
こういうお店って、カウンターしかないイメージがあったけど
カウンターって僕実はあまり得意では無かったから
テーブル席があってよかった。
奏楽さんが手前に座ったので、
僕は反対側に向かおうと足を進める。
すると、奏楽さんに腕を掴まれた。
「……え?」
「横に座れよ。」
え、それはさすがに違和感がものすごいというか…。
奏楽さんは、固まる僕なんか構わず奥側に移動すると、
そのまま僕をすぐ隣に引っ張った。
「俺対面苦手なんだよ。」
「あ…そうなんですか?
だったらカウンターの所で食べれば…。」
「俺カウンターも苦手なんだよ。」
「あ、そ…それは仕方ない。」
ラーメン向いてないんじゃないですか奏楽さん。
って思わず口から出かけて慌てて押さえ込んだ。
本当に、個性が強いというかなんというか。
ユニークなラーメン屋には、
ユニークな客が集まるようになっているんだろうか。
お水とおしぼりを持ってきた店員の男の人に、
奏楽さんはメニューも見ずに
「注文いいですか。」
と一言。
まじですか。
僕まだ何も決めてないんですけど。
「硬め、濃いめ、少なめ野菜マシマシで。」
一体何の呪文でしょうか。
僕には一つも理解できませんが。
「美晴は?」
店員さんと、奏楽さん両方の視線を感じて
それはそれは自分でもびっくりするくらいに
手汗は凄いし動悸もやばい。
「え、えと…えと、同じので。」
って言うしかないじゃんか、こんなの。
店員さんは注文を書き終えると、
隣同士に座る男2人に関しては全く違和感もないようで
早々に立ち去っていった。
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