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もう離れられなくて#33
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“帰ったか。ありがとな。”
程なくして返ってきたメッセージは相変わらずの愛想のなさで、
それがまた奏楽さんらしくて心地良い。
次はどんな返信をしようか、
最近買ったスタンプを使ってみようか。
なんて考えていると、
なんと奏楽さんから連続してメッセージが送られてきた。
“服、わざわざ買ったのか。”
…?!
なんでわかったんですか。
文字を打ちながら声に出していたと思う。
だって、確かに奏楽さんと会ったのはちゃんと買い物を終えてからで、
ショッピングバッグとかは一式ナベが持ち帰ってくれた。
普段と服の系統が違うって言っても、
奏楽さんと会ったのは今日が2度目で
その前は僕、制服着てたよ…?
すると奏楽さんからメッセージ…
と、それを読む間もなくスタンプの嵐が送られてくる。
それもかなり人を馬鹿にしたような、
奇妙な動きを繰り返すクマのやつ。
“背中にシール貼ってあったぞ。”
…?
……?
………?!
“早く言ってください!!!”
僕の返信を待っていたかのように
すぐさま付く既読の文字。
いつもならきっと嬉しくて仕方がないはずのその表示が、
今はもう恥ずかしくてたまらない。
おかしいじゃん!
気づいてたなら教えてよ!!
なんで!
タピオカ飲んで、カラオケ行って、ラーメン食べて、電車に乗って、家に着いた今言うんですか!!!
ほんっと奏楽さんってさあ!!!
文句は山ほどあるのに、
さっきから何を言っても奏楽さんは笑い転げるキモいクマしか送ってこない。
もう、僕恥ずかしくてどうにかなりそうだよ。
“ま、俺の為に準備してくれてありがとな。嬉しかったよ。”
…!
うわわ…なんだこの人…落としてから上げるのうますぎーー…
“Mサイズ。”
嘘。
下げて上げてまた下げるのは無しです。
ダメです、もういじけますよ、僕は。
“ひどいです…”
泣きわめくキャラクターのスタンプまでつけてやった。
奏楽さんめ。
これ以上いじってきたらもう本当にいじけますからね。
最早涙目の僕に追い打ちをかけるように、
軽快な通知音を鳴らす僕のスマホ。
それも続けて2回。
奏楽さん相手にメッセージを無視するという考えは存在しないので、
恐る恐る目を向ける。
『悪かったって笑
次はいつも通りの服で来い。』
『ありのままのお前でいいんだよ。』
ううう、うわぁ…。
本当、僕の心見透かしちゃうんだから
奏楽さんは。
『恥ずかしい』の意味はいつの間にか、
羞恥から照れに変わっていた。
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