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もう離れられなくて#35
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夜中、いつもより多く目が覚めた。
もとからあまり睡眠が深い方ではなくて、
数回目をあくことはしょっちゅうだったけど。
1時間もたたないうちに目を開いて、また閉じる。
雨はもうずっと降り続いている。
「…返信、来ないな。寝ちゃったのかな。奏楽さん…。」
朝型の僕と夜型の奏楽さんでは、暮らし方が違いすぎて
奏楽さんを予想する事が出来なくて、怖い。
いつも、起きてるじゃん。この時間。
いつも、眠っているだろう僕を気遣って
真夜中にもう一度、おやすみをくれるのに。
今日はどうして?
今日に限って、どうして?
せっかく特別な日なのに。
…ねえ、僕のこと、いやになったの?
会って、話して、楽しかったなって。
また会いたいなって思ったのは僕の方だけだったかな。
やっぱり僕なんかじゃ、
奏楽さんは満足できないよね。
夜中というのは、どうしてか心が弱くなる。
ほんの数時間前まで、奏楽さんとはいつものようにやり取りをしていたのに。
そばに居られてあんなに嬉しかったはずなのに。
僕、おかしいよ。
スマホを閉じればまた真っ暗な世界に逆戻り。
誰もいないこの空間で、
僕が涙を流したことなんて誰かが知る由もない。
頬を伝うこんなもの、きっと気のせいだ。
暗い、つらい、苦しい、虚しい。
僕は、なんて欲張りになってしまったんだろう。
誰より幸せなはずなのに。
奏楽さん、奏楽さん…、声が聴きたい。
返事が欲しいよ。
わがままで、ごめんなさい。
僕は馬鹿だから、
気づいてくれる人なんてこの家にはいないのに
誰にも気づかれないようにと、袖で顔を覆って声を押し殺した。
いつの間にか寝落ちていて、アラームの音で目が覚めた朝7時。
腫れぼったい目に鈍痛を感じながら起き上がる。
スマホを見ても、既読はない。
…0時00分に送った1つのメッセージを、取り消して無かった事にした。
僕ばかりが調子に乗って、本当、バカみたいだなって。
おかしいなぁ、朝になればいつもなら少しは気分が晴れるんだけど。
…そっか、雨か。
朝だというのにどんよりと重たい灰色の空。
こんな日は、全部全部雨のせいにしてしまおう。
12月1日。
いつもと同じ日曜日。
何も変わらない僕と、僕を乗せて回る世界。
何かを口に入れる気にもならず、僕はもう一度目を閉じた。
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