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もう離れられなくて#46
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奏楽さんは僕を抱きしめたまま、瞼を下ろした。
長いまつ毛は流れる髪の毛に隠されて、
その髪の毛は奏楽さんの呼吸に合わせて揺れる。
疲れがたまっていたのだろう。
今にも眠ってしまいそう
…いや、もしかしてもう眠ってしまったんだろうか。
奏楽さんが目を閉じていることで、ようやく僕は奏楽さんの顔をゆっくりと見つめることが出来た。
無理に何かをしてこようとする様子はなくて、
抱き寄せられている僕の心音は先ほどよりも多少落ち着いてきたように思う。
奏楽さんの鼓動を感じて、
やっぱり少しだけ早くて、
この人は元々そういう体質なのかな、なんて思ったりした。
緊張は安心に代わり、
人肌のぬくもりは慣れないくせに心地が良くて、
僕も奏楽さんのように目を閉じる。
…と、
「…眠いか?」
奏楽さんの耳を刺激する色っぽい声が、
すぐ近くで響いた。
少し掠れたその声も、僕は大好きで仕方がない。
「ん…はい、少し…だけ。」
今目を開くのは恥ずかしくて、
その瞼を伏せたまま奏楽さんの質問に答えた。
「……そうか。」
奏楽さんはそういうと、
それまで自分側に引き寄せていた僕の左手を握り直し、
それをベッドに押さえつける。
驚いて思わず目を開いた。
が、その時はもう既に遅かったらしい。
「?!…ぁ、いっーーー。」
まだしっかりと記憶に残っているこの痛み。
あぁ、あれは確か奏楽さんと初めて会ったあの日。
”俺の”と書かれたその上に、
しっかりと赤黒く残っていた楕円形。
ようやく、今日ここに呼ばれた本来の目的を思い出した。
左下に視線を向ければ、黒い髪に覆われて
その部位が今どうなっているのかは全く見えない。
見えないけれど、しっかりと捕らえられ、
確かな痛みを感じるそこは、
間違いなく奏楽さんに喰らいつかれている。
鈍い痛み、
声すら上げられない驚きと恐怖、
そして奏楽さんの為になれているという喜びに、
僕は身体に力を込めてただひたすらに耐えた。
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