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もう離れられなくて#59
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お母さんが帰ってくる頃には、奏楽さんとの通話を終えて
いよいよ眠気がマックスになっていた。
でもお母さんが帰ってくるまで、
今日は眠らないと決めていた。
だって
「ただいま~!勝った勝った~!!」
そう言って上機嫌にバッグを揺らすお母さんに、
言わなきゃいけないことがある。
「お帰り。」
「あれ?ま~だ起きてたのかぁ。」
「うん。…ちゃんと聞いたから。」
「…?」
「奏楽さんの苗字、僕知ってるから!!」
教えてあげるかどうかは別問題。
っていうか、わざわざ奏楽さんの情報を
そこまで親切に提供してあげるつもりはない。
言いたい事だけを言う。
そんなこの家庭だから許されたことだと思う。
ほら、これでお母さんもバカにしないでしょ?
これでもう、アウトじゃないでしょ?
お母さんはまたため息をついて、
でも今度は呆れてるっていうよりは諦めてるって顔。
僕の意地が勝ったみたいだ。
当たり前だ。
相手がお母さんだろうと、誰だろうと関係ない。
奏楽さんを下に見るような奴は、僕が何も言えなくしてやる。
奏楽さんに、ちゃんと報告しておいた。
”言ってやりましたよ!”って。
奏楽さんは相変わらず、興味もなさそうに
”そうか、よかったな。”
って返してくれた。
奏楽さん、この数日間とは打って変わって
たくさん返信をくれる。
やっぱり少しだけ、元気は取り戻せたのだろうか。
僕が嫌がって、もし他に噛まれる担当みたいな人が出来たら
奏楽さんのためを思えば仕方ないって思わないといけないけど
ちょっと辛いかな。
痛いの、めっちゃ苦手だけど。
叫ぶし泣くし散々だけど、可能な限り我慢はするから。
だから、そこは僕の居場所にしてくれたら
とっても嬉しいです。
(もう離れられなくて# fin.)
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