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なんて素敵な#1
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奏楽さんは、あれから再び作曲作業に取り掛かったらしい。
集中しすぎてスマホなんて放置しちゃうのは奏楽さんの性格だと割り切るようにして、
あまり考えすぎないようにした。
もちろん気を抜くと今奏楽さんは何を考えていて、
何をしているのだろうって気になってしまう。
やり取りしていても奏楽さんの考えを読み取ることは難しいし、
たとえ会って話していても、
奏楽さんの一言一言が想像をはるかに超えていたりそもそも僕には考え付かないようなことばかりを言ってくるから、
わからなくて、知りたくて、
聞けない自分の性格を恨んだりもした。
けれどそんなときは、奏楽さんの曲を聴く。
はじめは僕があまり聴いて来なかったジャンルの曲調ばかりで
抵抗があったけど、
落ちサビとか少し静かになるタイミングでの
奏楽さんの息の吸い方やエッジの色気が癖になってしまって、
どっぶりと浸かってしまうのにそう時間はかからなかった。
奏楽さんの独特の世界観とか、
物語調になっているおとぎ話のような歌とか、
かと思えば奏楽さん自身の辛さや苦しさをそのまま歌にしたんじゃないかってくらい
リアルで胸を締め付けられるような切ない歌とか、
たくさんあった。
これをたくさん聴いていけば、
歌詞をたくさん読んでその歌詞の中の本当の奏楽さんの気持ちや心の叫びに耳を傾ければ、
もしかしたら奏楽さんのことが少しわかるかもしれないって。
…と、まあきっかけはそんな僕の欲でしかなかったわけだが、
どうして今までハマらなかったんだろうっていうくらい僕の胸をわしづかみにする奏楽さんの曲たちに驚いた。
奏楽さんとしても、Rickyとしても結局頭の中を埋め尽くしてくるあの人は
本当に何者なんだろうと思う。
僕を支配し続ける奏楽さんに出会わなければ、
部屋の隅でうずくまってるダメな奴だったなって。
今もそりゃまともに毎日学校で授業を受けているのが普通だという人たちに比べたら
僕なんて全然だけど。
それでも少しずつ前に進んでいけている気がするのは
ほかの誰でもなく、奏楽さんのおかげだ。
奏楽さんが少し聴かせてくれたデモ?っていうやつは
いつ完成して聴く事が出来るんだろう。
早くまた会いたいなぁ…。
そんなことを考えながら学校へ向かう道を歩く。
もちろんイヤホンからは奏楽さんの歌声が流れている。
奏楽さんのおはようと頑張れがない日には、
こうして奏楽さんの曲を聴けばそれが僕の頑張る力に直に繋がるから。
不思議な力を持っている奏楽さんの曲たちに、
僕は今日も救われる。
氏原先生、そういえばかなりRickyにハマってたっけ。
ちょっとだけ保健室に寄ろうかな。
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