アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
なんて素敵な#3
-
「……またあいつと何かあったの?」
氏原先生とあいつの関係を知っていれば、
それ以外ありえないことくらい誰でもわかると思うんだけど、
氏原先生はなんでわかるの?みたいな顔して固まってた。
いや、それ普通だから。
僕がエスパーとかそういうのじゃないから。
むしろ奏楽さんのエスパーになりたいよ。
それこそ、奏楽さんが一言も発しなくても
今何を求めていてどういう感情でいるのかを察せる能力みたいなの、欲しい。
「何でもないって…。」
強情な氏原先生にはあきれを覚えるほどだ。
先生はもっと自覚したほうがいいよ。
先生がどれだけアイツのこと好きでいるのか、
先生があいつを見る目がどれだけ幸せそうで優しいのか。
「氏原先生が元気ないときにあいつが関係してないわけがない。」
目を見てズバッといってやれば、
先生はようやく観念したのか唇を尖らせて否定をやめた。
ほら、言ったことか。
僕は先生の隣の机に腰掛け、
頬杖をついて先生の顔を覗き込む。
以前はこんな態度の悪いことしたことなかったけど、
あの頃は僕なりに氏原先生に好かれようと頑張っていたのかもしれない。
無意識のうちに。
けれどその気持ちが奏楽さんのほうへ向いている今は
何なら氏原先生のこのジメジメがほかの体調悪くしたりして保健室に来た生徒の人たちに迷惑なんじゃないの?って
そんなことまで考えられる視野の広さすら持てた。
「…高木先生が、クリスマスの夜イルミネーション誘ってくれた…。」
いったい何をされたんだと心配して聴いてみれば、
なんとただただピンク色のお話じゃないか。
開いた口が塞がらないってこういうこと。
何、氏原先生はいつからそんな特殊な表情筋を持っていたんですか。
会いたいとも言えずになかなか会えない寂しさをどうにかして紛らせようとする僕に向かって何言ってんですか。
「ねえ、惚気なら僕帰る。」
「ごめん違うの待って。」
クリスマスのイルミネーション見に行く話が惚気以外の何だってんだ。
ついため息をこぼして席を立とうとした僕だけど、
氏原先生の表情はやっぱり憂鬱そうなそれだったから、
仕方なくもう少しだけお話聞いてあげることにしたんだ。
先生も先生なりに、もしかしたら悩みがあるのかもしれないから。
僕の恋愛とは違って、家も職場も同じところの氏原先生だからこその、
何かあまり人には言いづらいこととかもあるかもしれないから。
本当、仕方ないなあ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
79 / 95