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なんて素敵な#4
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氏原先生の悩みと僕の悩みなんて比べようがないほど距離感が違っていて、
普通の恋人同士って…そういうものなのかなって
なんだか切なくなった。
”いつも”を知ってる氏原先生だから感じるあいつへの違和感。
近い距離に居るからこその、悩み。
どんな理由があるのか僕にはいまいちよくわからないけれど、
2人の近さを羨ましく思ってしまうのは仕方ないと思う。
だって僕はまだ、奏楽さんの”いつも”をほんの少ししか知らない。
だから違和感、とか…気づいてあげられないと思う。
家も別の場所、学校も職場も別々。
遠くはないんだろうけど、
普通に生活していたら多分出会うことのない人だ。
そんな奏楽さんに出会って、
連絡を取り合ってたまに会えたところで
…奏楽さんの考えてることは、やっぱりよくわからないから。
「怖いよね、何考えてるのかわからないのは。…僕も氏原先生と同じ。」
きっとそこには事情があって、
きっと何か理由があって。
話してくれないなら無理に聞き出すんじゃなくて、
いつでも受け止められるだけの覚悟を持つ事。
それから、言葉はなくともそんな恋人を理解してあげる事。
……って、頭ではわかってるんだけどなぁ。
心はうまく追いつかないし、悩んじゃうのは仕方ないよね。
氏原先生は少し驚いた顔をしていたけど、
でもすぐにまたどんより曇り空に戻ってしまった。
「兎毛成君は僕とは違うよ。」
「うん、違うね。だって僕はあいつみたいなウジウジした奴は選ばないもん。」
「……。」
あっ、しまった本音が。
氏原先生がっつり固まってるや。
ごめんね先生。
だってさ、僕はあいつのこと好きになれないもん。
ふと思い出したのは、奏楽さんと出会う前ーー…。
今から3ヶ月くらい前に、ナベと2人して不本意ながら氏原先生達のキューピットになった日の事だ。
不安とか、精神的な部分で体調を崩すのは
僕もないとは言いきれないから責められないけど、
それなら無理に隠そうとして氏原先生を心配させるなとも思う。
あの時の失敗をまた繰り返してるなら、
年上の、しかも教師に言う事じゃないかもしれないけど相当なバカだよ。
隠すなら隠す、隠せないなら奏楽さんみたいに正直に助けを求めるべきだ。
……あれで奏楽さんを助けられたのかといえば未だに疑問は残るけど。
何を見て何をを感じても、その全てで奏楽さんと比べてしまう。
そしてその何もかもで、奏楽さんは勝っている。
僕にはもったいない、とってもとっても素敵な人。
そんな奏楽さんの話を、いつか氏原先生にもしてみたい。
逆に氏原先生のあいつとの話を聞くのは、
砂糖の塊食べてるみたいに甘ったるくてちょっと恥ずかしいけど。
それでもこんな風に苦しそうな顔してるよりずっといいから。
愛の形は違えど、僕は氏原先生が大好きだから
先生が笑ってる顔が見たいな。
…なんて。
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