アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
なんて素敵な#13
-
奏楽さんが連れてきてくれたのは
大通り沿いに位置するイタリアン…っぽい雰囲気のレストラン。
はじめは僕なんかが入ったら浮いてしまうんじゃないかと心配したが、いざ店内に入ってみると家族連れや年配の方も結構多くて安心した。
この間も感じた事だが、奏楽さんは僕の想像している芸能人の在り方とはかけ離れていて
意外と庶民的というか
案外普通というか…。
まあ、僕に合わせてくれているだけなのかもしれないけれど。
……いや、でも奏楽さんに限って僕に合わせてくれるような事は無いか……。
「美晴?…座りな。」
「え、ぁ…はいっ。」
この多くの人たちの目につく空間の中で
また僕は奏楽さんの隣に座る、のかな。
なんかちょっと恥ずかしい。
案内された席は窓際の、駐車場からもよく見える場所だ。
もしここで、4人掛けの席であるにもかかわらず
男2人が隣り合って座っていたら
と、考えるだけで恥ずかしすぎて顔が熱くなる。
完全な不審者じゃないか。
主に僕が。
流行りの曲が流れる中、
わいわいと賑やかな店内。
静かな車内とは違うその状況下で
いつもより少しだけ大きな声を意識した。
「…た、対面でもっ…いいですか?」
「それ以外に何があるんだアホか。」
「えっ。」
………気分屋にも程がある。
ラーメンとそれ以外とじゃまた違うんだろうか。
僕の中の奏楽さん7不思議がもうすぐ完成しそうです。
木製の椅子の上に括り付けられた座布団をずらさない様、慎重に腰を下ろした。
もちろん、対面とはいえ
対角線上だ。
すぐ目の前に人類の美しさを全て盛り込んで完成したような顔があるのは落ち着かないから。
メニューの書かれた冊子をテーブルの端から抜き取る仕草すら様になっている。
決してゴツくはない太めのリングが、細い指によく映える。
暗い中ではよく見えなかったけれど
小指に通っているそれはトランプ柄のようで、ハート、クローバー、ダイヤ、スペードと等間隔で彫られた模様が
キツさを和らげていていい感じ。
高いものとか、ブランドにあまり詳しくない僕でも
そのデザインは素敵だな、と…思った。
奏楽さんによく似合う。
似合わないものなんてないんだけど。
「…何みてるんだ。何かいいのあったか?」
「………ま、まだ…です…。」
「そうか。」
奏楽さんの指に見惚れてました。
…とか、言ったらまた呆れられそうで言えない。
僕の目線の先にあったのは間違いなく奏楽さんの小指なのだが、
まさか自分の指を見ていただなんて考えもしない奏楽さんは、自らの手を退けて
そこにある一つの写真を指差した。
「…これ見てたのか。辛いの好きか?」
「え、あ…っ。はい。」
そこに写っていたのは“いじわるスパ”という、
見るからに辛そうな赤いブツが混ぜ込まれているパスタ。
辛いの、は……別に苦手ではないけど得意とまではいかない。
唐辛子マーク3つついてるけど
小さなお子様や高齢の方は〜みたいな注意書きまであるけど
た…食べれないことはない、ハズ。
「僕、それにします。」
危険を伝えるように、口内に唾液がじわっと溢れた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
89 / 95