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sky.1
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日々の残業に、上司の酒づきあいに、満員電車……
────正直勘弁してほしい。
子供の頃、憧れてた酒飲む男も現実はそんなに甘くないんだと頭がズキリとした痛みを覚えて深くため息を吐く。
そもそも、だ。
そもそもこんなに普通飲ませるか?
過去に自分たちの上司にやられた腹いせだろ。
高校とか大学とかの友達に聞いてもそこまで飲まされてないって言うし?
加えて上司たちはもう目がギラギラに光ってるし?
いっそのことこんな負のループをぶった斬れと思わなくもないが、生憎俺も入ったばかりの後輩に同じことをしてしまっているからどうしようもない。
こうやって歴史は繰り返されるなんて大仰なことを考えてみつつ、人に揉まれながらやっとのことで満員電車を降りた。
ふう、と一息つくと改札に向けて歩みを進める。
最寄り駅5分という手軽さで決めたアパートはこういう時は役立つ。
大きな仕事を終えた週末で早めに帰れそうだったのに上司に引きずられ無理やり参加させられた飲み会でもう精神的にも身体的にも限界だった。
もう、帰ってからは寝る以外選択肢はあるまい。
ゴールが近づき、軽快な足取りでアパートの階段を登り、部屋の前に辿り着くと鍵を取り出して、ガチャリと解錠すると、
「ただいまあ……」
と誰もいないけど、いつも通り言いながら革靴を脱ぐ。
実家を出てから随分経つが、変わらず言うようにしてるこの言葉も返す相手がいないとこうも虚しく聞こえ……───
「大和、おかえり」
聞こえ、てくる……はずないんだけど!
「は!?」
バッとリビングの方に目を向けると高校生ぐらいの男子が一人。
やけに見たことのある明るい茶色の髪の毛に両耳に1つずつ開けているピアス。
左目下にある泣きぼくろにも見覚えがありすぎるくらいなんだけど……
「お前……琥珀、だよな?」
いるはずがない。
だってあいつは7年も前に亡くなってるから。
呆然としてるだけの俺に“琥珀らしき人物”はひらひらと手を振った。
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