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出会い 2
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誰かが言った。
初めて出会って目があってから3秒で、相手が好きか嫌いかが判断が出来ると…。
(そんな事って、あるのかなー)
だがウマが合う人は始めっから、わかる気がする。
一目惚れをするというのは、きっとそういう事なのかな?と他人事の様に考えていた。
人を好きになるって、どういう事なのかな…自分にはまだ知らない感情だった。
出会いは教室。
前の席に座っている同級生の身体が、さっきからグラグラ揺れている。
初めは居眠りかと思った。
だが彼は次第に咳き込み、周りの同級生達は『何で、こんな状況で学校に来たんだ!?』と顔を歪めていただけだった。
担任も何もなかったかの様に淡々と必要事項を話し続け、彼は大きな身体をより一層小さくした。
(…見てられない)
初めは大変そうだなとか、誰も見て見ぬふりをされて可哀想だなとかだった。
「先生~、保健室に行きたいです」
だから、咄嗟に手を上げ声を出した。
そう言うと席を立ち、彼の腕を掴んだ。
「あぁ、良いぞ」
素っ気なく言う、担任。
(すぐ返事をするなんて…具合悪いの、わかってるんじゃん!)
担任に悪態をつきたくなるが、抑えた。
「んじゃ、行こう」
強く引っ張ったわけではないが、力が入らないらしく抵抗されずにすんなり立ち上がらせた。
ヨロヨロとした身体に不安を覚え、とにかく支えようと声をかけた。
「ほら、肩に腕を回せって」
そうは言ったものの、身体が思うように動いていないので、彼の腕を動かして自分の肩に乗せる。
そして、彼が倒れないように保健室に連れて行った。
「先生!…あ、いない」
勢いよく開けた保健室のドアだが、保健の先生がいなかった。
(とにかく、彼をベッドに連れて行かないと…)
「んーじゃあ、ベッドに寝とこ?」
ぐったりとした彼を少しでもリラックス出来るように靴を脱がせることにした。
「熱、あんのかな?靴、脱がすぞ~」
上靴を脱がし、布団をかけた。
(さてと、後は…)
さっき支えた身体はとても熱く、熱がありそうだった。
だから蛇口をひねり、清潔なタオルを2枚拝借して冷たい水をつけて搾る。
近くにあった洗面器にも水を入れて、彼が寝ているベッドへと向かった。
顔を覗きこむと、少し落ち着いてきたのか眠気が出てきたらしい。
額に冷えたタオルを置いてやる。
「気持ち良いだろ?熱があるから冷やしておくな?」
「…」
声をかけたが、ボーッとして焦点が合っていない。
だが、頬は熱で真っ赤なので、とりあえず冷たく濡れた違うタオルで顔を拭いた。
「…ん」
「もう、大丈夫だからな~」
兄弟にするように、何となく頭を撫でた。
「って、悪い…」
ハッと気がつき、慌てて手を引っ込めようとした。
引っ込めるよりも先に、彼が自分の手を離さないように握ってきたのだ。
(んん?)
何故握られたかが、わからない。
ボソボソッと、何か言われた。
「…も、ちょ…撫で…」
「ん?」
(何?)
聞き直すと、彼は少し頭で考えてから簡単な言葉を話した。
「…撫でて?」
「…うん」
(弱ってんのわかるんだけど、可愛いのな)
撫でることを続けた。
病気の時は寂しくて心細くなる。
兄弟もそうだったから、余計にわかるから何も言わずに撫で続けた。
すると、また彼が何かを話す。
「…遠…」
「ん?何?」
聞き取れなくて、顔を近づけた。
そうすると、彼の目が真っ直ぐに自分を見つめてきた。
初めてじっくりと彼の顔を見て、ドキッとする。
3秒。
見つめ合う。
この一瞬で、恋をしてしまった。
少し癖っ毛の茶色の髪に、アーモンドの形をした切れ目、鼻筋はスッとしていて、唇の横にはセクシーなホクロ、誰が見てもイケメン。
まぁ、今は顔色が悪いが…。
だが、気にもしない。
人生初の、一目惚れ。
「…き、だ」
彼の声も好きだな、などと考えていたら絞り出す様に、彼がポソッと言った。
「ん?」
また、聞きづらくて聞き返す。
「好きだ」
ようやく聞こえた言葉に、思考が停止しかかった。
そして数秒間無言になったが、勢いよくブハッと吹いて笑ったのだった。
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