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牽制 2
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あの日具合が悪かった拓斗は、次の日すっかり風邪が治った。
席が前後と言うこともあり、それから何かと一緒にいるようになった。
『助けてもらったから、なついた』と同級生がからかう。
(あの日、熱でうなされて頭が廻らなかったんだ)
急な告白も無かったことにしたくはなかったが拓斗はあの時、朦朧としていた。
もう、覚えていないかもしれない。
「たぁく、良い子良い子」
みんなが『拓斗』と呼ぶから、『たぁく』と呼ぶ時は拓斗の癖っ毛を撫で回す時に呼ぶ時のあだ名。
犬のように扱うのも、髪の毛を触る事が出来るから。
セットしていた髪を、ぐちゃぐちゃにしてやる。
「ちょっと!」
『もー』と文句を言いながらも手を払い落とされないから、怒ってないのがわかる。
「元々カッコイイくせに、わざわざ格好つけるなよ」
(あの時に言った告白は、本当に本気なのか?)
「…他の奴に、格好良いの見せんな」
ボソッと言った。
「なぁに?なんて言ったの、蒼ちゃん」
聞き返えされて、びっくりする。
「何でも無い!」
拓斗の髪の毛を、わっしゃわっしゃと撫で続けた。
頬が熱い。
拓斗が『蒼ちゃん』と、あたかもずっと昔からの友達だったかのように呼んでくれる。
だから、それを聞いた人達は『仲が良いねー』とか『幼馴染み?』と聞かれる事が多い。
(蒼ちゃんなんて呼ばせるの、拓だけだし…)
拓斗は、とにかく女子にもモテまくる。
声を掛けようとしてきた時に牽制を込めて、こうやって髪の毛を撫でまわす事もある。
(絶対、女子なんかにやらない。俺は『好きだ』って言われたんだから)
そんな邪な独占欲の感情をひた隠ししながら、
拓斗の癖っ毛を優しく撫でていた。
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