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勇者、悪逆を尽くす
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いや、勇者を見ての正直な感想は
「へえ、勇者ってやっぱいるんだ」
である。
魔王とかいうポジションになったものの、ただそれは魔界最強なだけであって、こうして勇者が押し掛けてきてやっと、それは魔王然としていると言えるのだと思う。
そりゃ、魔王がいれば勇者もいるか。
・・・いるのか?
とはいえ、あくまでも悪魔が-俺の部下が、襲われていたのだけれど。
そう、『襲われて』いた。
表現するにあたってそれが一番適語に思えた。
ちなみに、さっきから勇者と言ってはいるが本当に勇者なのかは不明ではある。
だがしかし、その風貌は明らかに勇者のそれだった。
銀色の鎧に銀色の剣を携えたどこかのゲームから出てきたような勇者像である。
魔界にゲームの存在がどうこうとかそういう話は置いておいて。
だから便宜上勇者と。
つまり、魔物を倒す勇者だと呼称している。
だが見た目は限りなく勇者だが、今まさに俺の目の前で繰り広げられている光景は明らかにそれではなかった。
だらだら話すと長くなるから結論から述べよう。
その『勇者』は俺の部下たちを嬲り(なぶり)殺しにしていた。
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