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魔王、裁きを下す
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またしても結論から述べよう。
その勇者の剣は俺に向けられることはなかった。
いや、実際向けられはしたが、そこにあったのは剣ではなかった。
その剣が振り下ろされる前に、ソレは既に塵と化していたからだ。
勇者は一瞬理解できなかったらしく、その柄しかない剣を振りかぶってきたが、物理的にそれは攻撃にならない。
「お前何をした」
「何もしてねえよ・・・」
明らかにうろたえている勇者だが、俺の答えに納得いっていないらしい。
何もしていない、というのは厳密には嘘であって嘘ではない。
俺自身がどうにかしようとしてそうなったのではなく、ただ、俺の魔力に中て(あて)られて灰塵と化したのだ。
立っているだけでその周辺に影響を及ぼす魔力。
それが俺の最強たる所以の一つだ。
傍に近寄ることすら赦さない、そんな絶対的な覇。
「無茶苦茶だな・・・」
「お前みたいな倫理から破綻した奴に言われたくねえよ」
だがこの勇者、その程度で怯んだりはしなかった。
面倒なことに。
どうやら俺に対して興味を持ってしまったらしい。
「なあ、アンタ俺のもんになれよ」
「・・・は?」
しかしながら文脈のない男だ。
人間ってやつはこうも頭がおかしいのだろうか。
っていうかコイツ、人間だよな・・・?
昔、何かの本で読んだくらいの知識しかないけれど、もっと慎ましやかな生き物じゃなかったか?
コイツのほうがよっぽど魔王っぽいじゃねえか。
まあ、この席を譲るつもりは一向にないが。
っていうか。
コイツなんて言った?
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