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保健室
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いつぞやか見た保健室の名簿を思い出しながら葵は確か3年Cだったよなぁーと思い、廊下を歩く。
連絡先を知っているから連絡しても良かったが
葵の驚いた顔を見たかった。
そもそも教室にいるか分からないけど·····。
C組の手前まで来たとき、前方の出入口から
見覚えのある背中を見つける。
しかし、いつも以上に暗い雰囲気を醸し出していて両手に何かを抱えながら階段の方へと向かっていく。
葵の後ろ姿を眺めているとC組の教室から笑い声が廊下まで響いてきて中を覗く。
金髪の男とその取り巻きが机に座りながら大声で笑い合っていたが、周りの生徒は、ひそひそとしながら何やら教室中の空気が重たそうだった。
直ぐに声を掛けようと思ったが彼の雰囲気になかなか声をかけることができず、葵の後を静かに追いかける。
しばらくして校舎外に出ると学校のゴミ庫まで辿り着き、小さな箱をゴミ箱にひっくり返していた。
多分弁当箱じゃないだろうか·····。
自ら持ってきた弁当をゴミに捨てるはずはないだろう。
さっきの教室の光景からしたら彼に何があったかはだいたいは予想はできる。
「葵?なにしてんの?」
「と、亨くん。えっと·····。」
葵の背中に声を掛けると、葵は慌てた様子でゴミ箱の蓋を閉め、振り返っては弁当箱を後ろに隠すようにして持っていた。
「昼一緒に食べない?」
「僕は結構です·····。もう食べ終わりましたので·····。」
葵は目を逸らしてそう言ったが数秒後に自分のものでは無いお腹の虫が泣き出し、一瞬にして赤面させていた。
亨はその音を聞くなり葵の手首を掴むと強引に引っ張っていった。
売店の目の前に葵を待たせて適当に複数のパンと飲み物を買うと再び強引に手を引き、何か言いたげにしている葵を無視して保健室に入る。
「亨。なんで既読む·····あ、葵くん。」
「飯食うから此処借りる。」
保健室に入るなり西田が目を丸くして駆け寄ってきたが後ろの葵に気遣くと口を噤んだ。
亨はそんな西田を無視して室内の中心にある椅子に座り多めに買ったパンをテーブルに広げる。
その中で亨はメロンパンを手に取ると封を開けてかぶりついた。
本当は保健室になど行きたくなかったが、屋上はきっと星野を含めカップルの愛の巣だ。
そんな所に自分達が行くなんて確実に浮いて居心地が悪いだろう。
それに葵は人気の少ないところを好みそうだった。
だからと言って適当に入れる教室があったとしても、彼は真面目だから「いいんでしょうか?」などと言って落ち着かない気がしたから手っ取り早いのが保健室だった。
葵がいれば西田はあくまで教師の顔をするので
都合がいい。
「はい、座れよ。」
入口で突っ立っている葵に向かってお茶と焼きそばパンを差し出す。
「葵くん入って。」
西田に促されてようやく前進するとテーブルに近づいて亨の差し出したパンを受け取ると向かえの椅子に座った。
西田もそれに続いて亨の左隣の椅子に座る。
「珍しい組み合わせね。」
西田がこちらを睨みながら返答を求めていたが亨は無視をしてやり過ごそうとすると左足を踏まれた。
「いてっ。」
小さく呟き西田を見ると険悪な雰囲気を醸し出しながらにこやかに笑っていた。
俺に笑いかけてる笑顔が妙に怖いんですけどー·····。
「西田先生、急に押しかけてすみません。」
葵が深々と頭を下げて謝る。
「ホントよー。って冗談。塩谷くんが悪いから。葵くんは気にしないで。葵くんならいつでも来ても大丈夫だから。」
西田は内心では俺に言いたいことが山ほどあるんだろうなーと思いながらも葵と西田を横目に見ていた。
葵は西田にお礼を言っては肩を撫で下ろし落ち着いた様子だったのであながち此処に連れてきたことは正解だったらしい。
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