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噂話
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すれ違いざまの男子生徒は下級生だろか。
音楽の教科書に2と書かれたていたので亨と同学年。
「そうそう。昼休み保健室でキスしてるとこ見たってやつがいるんだよ。」
「塩谷って年上キラーだよな。こないだ3年の美女と付き合ってなかったっけ?」
「あったなーそんな噂。あーでも、彼女が保健の先生とか男の憧れじゃん?羨ましくね?」
「俺は嫌だわ。西田、ビッチっぽいじゃん。服装からして男狙ってるし。」
男子生徒の声は遠くなっていくがその言葉がはっきりと聞こえて来る。
西田先生と亨との空気間に唯の教師と生徒の関係ではなさそうだと薄々感じていた。
しかし、今の話はあくまで噂で本人に効かない限り真実は分からない。
本当だろうか嘘だろうかどちらにせよ自分の恋愛感情が成就すると期待はしていなかった。
唯、こうやって自分の話を嫌な顔せずに聴いてくれる人が出来ただけで嬉しい。
亨が差し伸べてくれる手が眩しくて、それを素直に答えていいのか戸惑うこともある。
自分の境遇はとてもいいとは言えないしそれによって亨が巻き添えになるのは嫌だ。
だけど亨は既に気がついているはずなのにそんな自分でも強引に手を引いてくれる。
それが頼もしく見え、それに甘えてしまう。
自分のような人間に手を差し伸べてくれる男が悪い人だと思えなかった。
日頃花のことばかり考えている自分でも全く人を拒絶しているわけじゃない。
多少なりとも誰かと交わりたいと言う願望はある。
亨に連絡先を聞くことができた時点で友達と呼べるか曖昧なところだが、葵は嬉しかった。
決して明るくはない日常に光が差した気がしていた。
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