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家族
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昼休みに屋上へと行くことが恒例になり、
日を重ねるにつれて誘わなくても毎日そこで待っていれば葵は来てくれるようになっていた。
一緒の時間をいる度に好きだという気持ちが大きくなる。
昼食をお互いに食べ終わった後、自分はスマホを見ている隣で葵は何やら教科書を体育座りをしている腿の上から開いて勉強していた。
「勉強?」
「はい。」
亨は葵が何をしているのか気になり、話しかけると葵は静かに返事をした。
普段、花壇のお手入れだとかばかりの姿を目にするので勉強している姿は新鮮身を感じる。
それと同時に普段はなにも感じていなかったが、彼は自分のひとつ先輩で受験生だったということを実感した。
「そっか、葵はもう受験だもんな。」
「いいえ。僕、運転免許を取りたいんです。
卒業したら母の店を手伝いたくて·····。
免許があれば配達の仕事もできるので·····。」
「店って花屋だったよな。お母さん1人でやってるの?」
「一応アルバイトを雇ってるんですが、配達は母一人でやっているので僕ができれば母が楽できるるので·····。」
「葵って親孝行だよなー。」
「父が僕が幼い時に亡くなってから母一人で頑張ってきたので感謝を込めて僕が手助けしてあげたいんです。」
葵はゆっくり、実家の花屋は父親と母親で経営していたこと、父も花好きで幼い時から花に囲まれていたことを何より花が大好きであることを話してくれた。
葵の話から葵の家族はみんな優しくて温かいんだろうなーと想像しては気持ちがほっこりとする。
「亨くんは·····。亨くんはどんな家庭で育ってきたんですか?」
「俺は·····」
亨は空を見上げて考えた。
自分の家族は一般のサラリーマン家庭。
兄がいるが一回りも離れてるので自分が中学校へ上がる頃には既に独立してて滅多に会わない。
食事も食べたらすぐ部屋に籠るような葵の家族に比べるとバラバラな家庭かもな·····。
今は一人暮らしで最近、親とも一切会っていないな。
「俺は普通の家庭だよ。今は一人暮しだから。」
「そうなんですね。亨くんは優しいので亨くんの家族もきっと優しい人達なんだろーな。」
自分の話なんかより足先でリズムを取りながらパタつかせている葵が愛おしい。
「葵。」
葵を見ているとキスをしたい衝動に駆られ、
名前を呼び、葵がこちらを向いた隙に顔を近づける。
葵は突然のことに顔を真っ赤にさせながら
コンクリートに手をつけ後ずさっていた。
亨はその顔を更に追いかけようと詰め寄る。
「と…とおるくん·····。」
「ちっ·····。」
すると上から舌打ちが降ってきて聴こえた上方をみやる。
「昼からホモがいちゃついてんの。きもっ。」
塔屋から脚を広げながら屈んで此方を金髪の男が見下ろしていた。
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