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高嶺くんと先生
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「高嶺くん。君は同性愛者なのかい?」
「さあね。そうとは限らないんじゃない?」
「ベッドの上ではぐらかすかな?」
「だってわからないじゃないですか。今日男性に好意を抱いていたとしても、明日は運命だと思うほど素敵な女性が現れるかもしれない。同性と寝たからといって、一概に自分を同性愛者だと決めつけるのはナンセンスですよ」
「ほう。」
「そもそも、性別を用いて異性愛者か同性愛者かを分ける時点でつまらない。男か女かという二項対立の前に同じ人間であって、それぞれ個性がある。僕は人を愛する上で、性別より人間性を見るべきだと思います。"自分が愛した相手がたまたま同性だった"とか性別は後からついてくるものなんじゃないですか。」
「確かに君の言うことも一理あるのかもしれないね」
「そういう先生はどうなんですか?」
「僕自身、自分のことがわからなくてね。これまで男性を相手する度に君は同性愛者なのかと問われてきた。だが、僕が男性に対して欲情するのはフェティシズムだと考えている。異性愛者と公言する男性が女性の胸や尻に惹かれるのと同じで、僕は男性器に興奮する。それと同じではないだろうか。」
「なるほど。同性愛者、異性愛者と分けるよりも先に、性的嗜好だと考えるんですね」
「そういうこと」
「それは納得です。僕は貴方のような博識で論理的、あと…この剃り残した髭とか愛おしく思います。」
「ははは。剃り残してる?」
「はい。職員会議がある日はきちんと剃っているのに、僕と会う日は剃り残しがあるなんて傷つきますよ。もしかして僕以外に素敵だと思う相手がいるんですか?」
「それは違うよ高嶺くん。人間というものは気が楽だと思う相手の前では素を見せてしまうものだよ」
「じゃあ僕といることに緊張しなくなったということですか」
「勿論いい意味でね。」
「いい意味とはどういうことでしょうか。先生。」
「僕はこうして毎週金曜日の放課後、君といるのが当たり前になっているということだよ。そしてこれからは金曜日だけでなくもっと会う頻度を増やしたい。だからこそ取り繕った僕だけではなく、君には"僕"を知ってほしい」
「つまり?」
「僕は君のことを愛しているようだ」
「僕も先生のことを愛しています」
「こんなおじさんを愛していると?」
「えぇ。だって先生は先生じゃないから」
「そうだね、何度もこうして肌を重ねている時点で僕と君との繋がりは教師と生徒ではない」
「そうですよ。その上先生は妻子持ちでしょう」
「なぜそれを?」
「厳密に言えば元妻子持ちですが」
「君には何もかもお見通しなのかな。確かに僕は昔結婚をして妻との間に息子が産まれた。産まれてすぐ離婚したからその子とは15年間ずっと会ってないけれど」
「先生は息子の面影を僕に重ね、僕は父の面影を先生に重ねる。これほどまでにお互いを求めることはないでしょう」
「君は父親に会いたいと思う?」
「僕にもう父親は必要ない。ただ愛が欲しい。残念ながらひねくれた僕に父親からの愛は分からない。ただ、どのような形であっても息子より自由を選んだ父親に、屈辱的で悩ましいほど僕のことを考えて愛で狂えばいいと思ってますよ」
「もう十分君の手の内だよ、僕は」
「先生は最初から気付いていたんですか」
「さあ。君はどっちだと思う?」
「最初から気付いていて何度も僕を抱いたんですね。悪趣味」
「はは。君より僕の方がひねくれてるからね」
「…」
「大きくなったね、静」
「…お父さん」
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