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「かと言って都会でもないんだけどね」
藍野先輩の地元とは、つまり菫玲先輩の地元でもある。
だから、
行ってみたい
だなんて気軽に言ってはいけない気がする。
「…どうしたの?」
「えっ」
「や、なんか黙っちゃったから」
「すみませんっ、ぼーっとしちゃいました」
「考え事?」
「そんなところです」
「…そっか」
何を考えていたのかは聞かないんですね。
当然か。
別に、先輩は俺のこと…
「他にも写真で送ってくれた場所行きたいな。あの猫がいた公園?は、ここから近い?」
「あ、近いです!行きましょう!」
それにしても、
「結構たくさん写真送ってすみません。今更ですけど…」
「ふはっ、確かに今更だね。でも、俺は楽しかったよ。次はどんな写真送ってくれるかなーって」
「ほんとですか?」
「うん、結構楽しみにしてたんだよ。それに菱沼くん、写真の撮り方上手いよね」
「そう、ですか?」
「写真見て、実際に行ってみたいってなるんだから」
そんな風に褒められると少しだけ照れる。
「あ、照れてる?」
「っ…だって、先輩が…」
「俺が〜?」
「…意地悪だ」
「ふっ、可愛いなぁ」
ニヨニヨしながら言ってくる先輩は、意地悪な顔をしていて、そんな先輩は初めて見た。
それだけで、俺は嬉しい。
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