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「美味しい〜」
「菱沼くんは幸せそうに食べるよね」
「へ?」
クレープを頬張ってたら、ほっぺに付いていたみたいで伸びてきた指が口端に触れた。
そしてその指先のクリームをペロリと舐めた。
俺は一気に顔が熱くなる。
「っっ…!」
「あ、ごめんね…」
俺はブンブンと首を振る。
何か言うこともできず、手の中にある残りのクレープを食べる。
感じ悪いかな。
でも、恥ずかしくて顔が見れない…
藍野先輩にとっては、弟にするような、大したことないことなのかもしれない。
俺にとっては恥ずかしいことで…
「菱沼くん」
「は、はいっ…」
「ぶふっ…そんなに緊張しないでよ」
「っ、すみませ、…っ」
謝ろうと顔を上げると、俺を見つめる先輩と目が合った。
優しく細められた目に、ふわりとしたその表情に、俺は釘づけになる。
「…?どうかした?」
もう、いっぱいいっぱいだ。
「あ、あのっ、喉乾いたので、飲み物買ってきますっ」
思わずその場から逃げた。
「かわいいなぁ…」
そんな先輩の呟きは俺の耳には届いていなかった。
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