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「本当に?俺のこと怖くない?」
「怖くないです」
首を振って答えると、藍野先輩は安心したように笑った。
「それじゃあどこ行く?」
藍野先輩は俺の手を取った。
その時だった。
聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「あれ?」
その瞬間、パッと手が離された。
ズキリと、胸が痛んだ。
そりゃそうだよ。
見られたくなんて、ないよね。
振り返るとそこには、
「菫玲先輩…と、古瀬先輩…」
二人が手を繋いで立っていた。
チラッと藍野先輩を見ると、最近は見なくなってた、悲しそうな表情で笑っていた。
「え、二人って…」
菫玲先輩は俺と藍野先輩を交互に見て、口元に手を当てた。
きっと、誤解してる。
「いや…」
「違いますよ!俺が先輩に絡まれてたところを、藍野先輩が助けてくれたんです」
「絡まれたの!?大丈夫?怪我とかしてない?」
「はい、大丈夫ですっ。それじゃあ俺はもう行きますね!藍野先輩、ありがとうございました!」
誤解、させてはいけないと思った。
「あ、菱沼くん」
そんな藍野先輩の声を無視する形で、俺はその場から逃げ出した。
藍野先輩の口から、否定の言葉を聞きたくなかった。
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