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映画を観終わり、先輩に連れられるままどこかに向かって歩いている。
「最後まさかあんな展開になるとは思いませんでした…」
「そうだね」
そう言って先輩は俺の目尻に触れた。
「っ…もしかして分かりますか?」
「ふっ、分かるよ」
最後の展開に俺は泣いてしまった。
隠していたつもりだったんだけど、バレていたみたいだ。
恥ずかしい…。
「かわいいな」
「っ…」
あーもう、ドキドキし過ぎて心臓止まりそう。
「あの、どこに向かってるんですか?」
誤魔化すように尋ねる。
「んー、内緒」
「え…」
17時を過ぎ辺りは暗くなり始めているけれど、少しずつ街灯が点き始めて、そんなに暗さを感じない。
街行く人達はやっぱりカップルが多くて、自分たちもその中のうちの二人だと思うとなんだかくすぐったい気持ちになる。
本当に恋人同士になったんだなと嬉しい気持ちになるのは何度目だろう。
「何考えてる?」
「…え?」
「笑ってるから」
「っ…えっと、嬉しいなって」
「嬉しい?」
「はい、藍野先輩とこうして一緒に居れて嬉しいなと思ってました」
「はぁ…菱沼くんは俺をどうしたいの」
「えっ?えっと、幸せにしたい、です?」
ちゃんと考えずに思いついたことを言うと藍野先輩は困った表情から一変、嬉しそうに笑った。
「十分幸せだよ」
そんな言葉をもらえるとは思ってなくて、涙がこぼれそうになる。
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