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「菱沼くんごめんね?直澄、学校のことあんまり話してくれないから」
「…そうなんですね」
「もういいでしょ、俺の話は」
そう言って先輩は話を止めた。
話さないのは、きっと……。
先輩のお母さんは俺を見て、困ったように笑った。
俺はそれに対して、曖昧に笑うことしかできなかった。
そして朝食を頂き、出かけることとなった。
「菱沼くん、また遊びに来てね」
「はいっ」
「行こう、灰凌」
「あ、はい!」
ペコッとお辞儀だけして、先に出てしまった直澄先輩を追いかける。
「今日はどこに…」
「灰凌ってプラネタリウム行ったことある?」
「プラネタリウム?小学生の頃に行ったっきりですかね…?」
「そうだよね、俺もそんな感じ。で、これ」
先輩は財布からプラネタリウムのチケットを2枚取り出した。
「すみません、何から何まで…」
「いいんだよ、そんなこと気にしないで。俺が好きでやってるんだから」
「でも、俺も何か…」
「いいの、灰凌はここに居てくれるだけで俺は幸せだよ」
どうして、そんなこと言うんですか。
「直澄先輩、そんな顔しないで」
久々に見たあの表情。
胸が締め付けられる。
俺の言葉の意味が分からないようで、先輩は首を傾げた。
「何でもないです、早く行きましょう!」
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