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それから数年振り行ったプラネタリウムは、とても綺麗で楽しかった。
あんなにたくさんの星を見ることはなかなか出来ない。
「綺麗でしたね!」
「そうだね。この辺じゃほとんど星なんて見えないからね」
外灯もない田舎に行かないとあそこまでの星は見られないだろう。
「楽しかったです、ありがとうございます!」
「俺も楽しかったし、喜んでもらえて良かったよ」
先輩が自然と笑う。
出会った頃はこんな風に笑うなんて、想像出来なかった。
俺が、そんな笑顔にしているのだと思うと嬉しい。
そして俺たちは早めの夕飯を食べて、寮に戻ることにした。
「あれ?藍野くん?…と、菱沼くんだ!」
後ろから呼ばれる声がして、振り返ると菫玲先輩とバツの悪そうな顔をした古瀬先輩がいた。
「今から帰るの?」
「そうだけど」
菫玲先輩の問いに直澄先輩が答える。
二人が会話していると不安になる。
勝手なことだって分かってる。
仕方のないことだとも。
ただ、話しているだけだ。
でも、もしかしたら、ふとした瞬間に菫玲先輩が、直澄先輩のことを思い出すかもしれない。
そんな不安に駆られる。
だって、思い出したら、俺に勝ち目はない。
一瞬で、直澄先輩の心を持っていってしまうに決まってる。
菫玲先輩には思い出さないでほしいなんて、こんな酷いことを考える俺を、直澄先輩は軽蔑するかな…。
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