アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
108
-
「灰凌?」
「ごめんなさいっ…」
俺は直澄先輩の横をすり抜け、俺を呼ぶ声を無視して走って部屋を出た。
行くあてなんてなくて、とりあえず紅輝に電話してみようとスマホを取り出すと、直澄先輩からの着信。
「っ…」
涙が溢れそうになる。
今出てはダメだ。
5コール程して、切れた。
「あれ?灰凌?藍野先輩は?」
気づいたら談話室横の自販機の前まで来ていて、丁度飲み物を買いに来ていた紅輝に声をかけられた。
「紅輝…」
「何かあったの?」
「俺…」
話そうとしたら、手元にあったスマホが再び鳴る。
そこには直澄先輩の名前が表示されている。
けれど電話に出ない俺に察したのか、紅輝は俺の手を掴んだ。
「行こう」
「どこに…?」
「寮長のところ。何とか今日だけでも別の部屋で寝かせてもらおう」
そして全ての交渉を紅輝がしてくれて、空いている部屋で寝ることを許された。
俺はベッドに座らされる。
「何があった?それと関係してる?」
紅輝の視線は俺の首元に。
「これは、菫玲先輩に付けられて…」
「菫玲先輩?何で?」
思い出して、また涙が滲む。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
108 / 148