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「…灰凌が決めたことは分かった。でもひとつ聞いてほしい。俺は確かに嘘でしょって言った。それは、灰凌が嘘を吐いてると思って言ったんじゃない。飛世がそんなことするなんて…って、なんて言えばいいんだろう…飛世に対してムカついたのかな…」
「そう、だったんですか…?」
俺が嘘を吐いてるんだと思って言った言葉じゃなかった?
嘘でしょって、"そんなことあり得ない"って意味じゃなかったってこと?
直澄先輩は俺のことを信じてくれてる。
それなのに俺は信じられてないなんて、酷すぎる。
「ねぇ灰凌、それでも距離を置きたい?」
「……俺が、直澄先輩を信じられてないんです…」
「どうして?」
「飛世先輩の記憶が戻ったら、直澄先輩は…」
「何度も言うけど、それは仮定の話でしょ?実際、飛世の記憶は戻ってないんだし、それを心配しても…」
直澄先輩は知らないから。
だからそういう風に言える。
俺が抱える不安を、俺が言わなきゃ直澄先輩は知ることはない。
いつかは、飛世先輩が直澄先輩に言うと思う。
でも俺だって、直澄先輩のことは大好きだし、別れたくない。
「灰凌、何が不安?俺は灰凌と離れる気なんてないよ?」
ほら、その言葉を信じたいのに、信じきれない自分が居るのが心の底から嫌だ。
「信じられないんです…だって…!」
「だって…?」
「……飛世先輩は、
直澄先輩のことを思い出してるからっ…!」
「え…?」
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