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116 -side 藍野 直澄-
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「あり得ない…?直くんが僕のことを好きってことが?」
「だってあり得ないでしょ。俺には灰凌が居て、菫玲には古瀬がいる。お互いに相手が居るのに、」
飛世は唇を噛みしめる。
驚くほど分かりやすい。
「…僕ね、隠してることがあるの」
「知ってる」
「え?」
「さっきから俺のこと、"直くん"って呼んでるの、気づいてる?」
「っ…!」
飛世は目を開いて驚き、口を押さえた。
そんなことしても、無駄なのに。
「付き合ってる時は、俺のことそう呼んでたよね」
「直くん、あのねっ」
「菫玲の話はちゃんと聞くよ。だから、俺の話も聞いて」
菫玲の瞳は次第に濡れていく。
「忘れててごめんね…それに、忘れてたとはいえ、桐哉と…」
伏せた目から、涙が零れた。
「仕方ないよ」
「……直くんは、仕方ないで済ませるの?」
「だって、気持ちが俺の所にないのに、繋ぎ止めておけないでしょ?」
「僕、思い出したんだよ…好きなの、直くんのことが」
「俺も好きだよ」
「だったら…!」
飛世は俺の服を掴み、縋り付く。
「好きだった。今は灰凌のことが大切で、好きなんだ」
「どうしてっ……」
飛世はぼろぼろと涙を流す。
「菫玲、待てなくてごめん」
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