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「教室行ったらいなくて、飛世と出て行ったって聞いたからっ…はぁっ…」
「直澄先輩…」
教室からここまでずっと走って来たのか、息切れしている。
「藍野くんごめんね、先に僕から言っちゃった」
「飛世…」
「後は2人でどうぞ」
「飛世先輩…」
飛世先輩は俺たちの横を通り過ぎて行く。
そして振り返った。
「菱沼くん、勝手だけど、また僕のこと菫玲って呼んでくれたら嬉しいな」
「…菫玲先輩」
「…ありがとう。また明日ねっ」
俺が名前を呼んだだけなのに、どこか泣きそうになった菫玲先輩はひらりと手を振って去って行った。
「灰凌」
直澄先輩に手を掴まれる。
暖かくて、それだけで涙が出そうだった。
俺は握られた手をしっかりと握り返した。
「俺、直澄先輩は菫玲先輩のこと、選ぶかもしれないって思って…、直澄先輩のこと忘れなきゃって、どうしたら忘れられるか春休みの間考えてました」
「うん」
「でも、どんなに考えても、忘れる方法なんて思い浮かばなくてっ…忘れたくなくてっ…」
手に力が入る。
「俺のこと、まだ好きでいてくれますか?」
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