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次の日、俺は直澄先輩の病室を訪れた。
「あ、灰凌くん…その、昨日はごめんね?」
何の謝罪なんだろう。
「菫玲が来てくれて、思わずキスしそうになった。菫玲には避けられたんだけど」
その言葉に、菫玲先輩の言った通り、キスしていなかったという嬉しさと、直澄先輩からキスしようとした事実に、頭の中はぐちゃぐちゃになる。
何も言えないでいると、直澄先輩は口を開く。
「菫玲のこと見て、やっぱり好きだなって思ったよ。きっと昨日はここが病院だから避けたのかな」
やだ。
聞きたくない…。
「でもおかしいな?菫玲は俺のこと直くんって呼んでたと思うんだけど、昨日は藍野くんって…」
聞きたくないよ。
「え、灰凌くん!?どうしたの?どこか痛む?」
気がつけば涙がポロポロ溢れていた。
「っぅ……」
言ってしまいたい。
菫玲先輩とは別れてるって
今は俺と付き合ってるって
直澄先輩が本当に好きなのは俺だって。
でも、今の直澄先輩は俺の言葉を信じてくれる?
俺には信じてもらえる自信がない。
「あの、っ…」
「うん」
「菫玲先輩とは、いつ話を…」
その時、病室にノックの音がして扉が開いた。
そこに居たのは菫玲先輩だった。
「菱沼くん!?どうしたの!?」
泣いている俺に駆け寄って来た。
「っ…」
「菫玲の話をしてたんだけど…」
「僕の話…?」
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