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架空線3
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下半身に支配される若さは情けなかった筈なのに、今はそれが懐かしい。
制御出来ずに獣の様にのし掛かれば、返り討ちとばかりに荒々しく喉元に噛みつかれたあの頃。
どちらが先に手を出したのか分からなくなる程に我を忘れ、明日の事なぞ気にせず精を出し果てては、僅かな睡眠でそんな一日を繰り返していた。
動物的な感覚で求め合っていたあの頃を懐かしんでも、今更同じ事は出来そうもない。
ただ俺は、シたいだけなのに。
触れることにすら躊躇して、代わりに電子煙草を咥え 摘まんだ指先をしばし見つめる。
指 とても綺麗なんですね。
先日部下に言われた。
体に似合わずと言いたかったのか。それとも、手入れされた指先を褒めたのか。
自身を慰める指なのだ。ケアは当然ではあるが、無意識だったのだろう。改めてそう指摘されると 妙な気分だ。
まだいくらか若い頃には大人の玩具で鎮めることも多かったが、今はたまにしかしない。熱を持たない性質のせいか、ご無沙汰の虚しさが増すばかりだ。
いつのまにこうもストイックになったのだろう。
…ストイック? いや、それは違うか。
煙草を咥えた口元が歪んだ。
仕事に支障が出るから、控えてくれないか。
忘れもしない。猿のように毎日毎日よくもまぁ飽きないものだな と思ってはいたのだが、恋人から言われるまでは、受け身の自分が加減するなどとは考えたこともなかった。
でもあの日、彼の眼差しと 「支障が出る」「控える」とのワードで、獣も理性を取り戻す事にした。
回数を減らし 体位を考慮し 翌日を省みる。持て余した精力を仕事で消化し 上司や同僚との時間に充てた。
簡単ではなかったが 欲求不満に耐性がついた頃、昇格し仕事に忙殺された。責任を負う仕事は辛く苦しかったが、任される喜びと達成感は病み付きになるほどの面白さだった。
後輩が片手に収まらなくなり、年齢的なものもあったのだろう。やらねばならない優先順位もかわり始めた頃だった。
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