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架空線4
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珈琲飲むか?
ん。
彼の返事は、息遣いに似ていた。
昇進試験前に先輩から渡されたという小難しい本を読み やがて自主的に購入して読むようになった彼の傍らには、いつも分厚い書籍があった。
そっと台所へと席をたった。彼はそのままの姿勢でページをめくっていた。
手前から出したインスタント珈琲の瓶を手にしたがそれを戻し、吊り戸棚から豆の袋を取り出して、彼の動作を思い出しながらミルの中へ落とす。
一杯…二杯…確か…三杯だったか。
片付けようとするその手を、彼の声が止めた。
そのサジなら四杯だ。
背中に彼の体温を感じたが、遠慮気味の隙間があった。
昔なら、ピタリと張り付き固い股間を押しつけられ、止めろと言うのに体をまさぐられ、なおも止めろと言う口は噛み付くように塞がれた。絡み付く舌、了承を得ずに暴かれ大きく温かい手の中で寄り添い汁を溢す性器。息はこの上なく乱れ、言葉を忘れた獣が体液さえも求め与えて、そして達した。
崩れ落ちる体を互いに抱き抱え、場所を変え体位を変え 治まらない熱を幾度も処理をし弾が尽きる いや尽きてさえも…
あの頃は、そんなだった。
それは現実だったか夢だったか。日に日に自信がなくなってくる。
手動のミルで豆は砕かれ、重い感覚が香りが増す度に軽くなっていく。
回しながら吸い込んだ香りに癒されるのに、背後の彼は台に手をかけたまま俺に寄り添うでもなく、ただ 彼の呼気が耳に当たるだけだった。
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