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架空線8
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身震いした程の快楽が、突如失われた。
あれだけ昂っていた感情が恐ろしいほどスッと消え、彼の雄を黙って抜いた。
ッな なんだよっ? オィ!
シンク台と彼に挟まれていた半裸の身体を折り、ジャージを上げ シャツを拾うと素早く袖を通し、先ほど作った飲み頃の珈琲を一気に飲み干した。
怒りと悲しみがない交ぜになって、行き場のない感情が大きな声になる。
どーせ俺は若くないよ!クソッタレ!
近頃じゃ雄としての匂いも薄らぎ、獲物を見付けるセンサーさえも働かない。良い男を見てももう、それだけしか思わない。
どこもかしこも筋肉質だった体も、ここ何年かで急激に柔らかくなっているのを知っている。腕回りのサイズだって太もものサイズだって はち切れんばかりのスーツが今はちょうど馴染んでいる。せめてお腹が突出しないよう最低限努力はしていたんだ。
あの頃の魅力が無くなっていることなんか、俺自身が嫌と言うほど把握している。だから今更言い出せなかったんじゃないか!若さなんか既に有りはしない。「まだ使える」などと…俺を中古にしたのは彼だというのに、よくも言えたもんだな!
嗚呼 腹立たしい。
なんだよ急に…
彼が大きな溜め息を溢したのに対して、自分の額の血管が蠢いたのが分かった。
自分で言うのもアレだが、キレるともう冗談では済まない初老体だ。向かい合った彼を見ないように目を伏せ、あのな、と声を絞り出す。
何年も放っておいて、失言が過ぎるんだ お前は!
彼の分の珈琲も飲み干しシンクに沈め、押し退けるようにしてリビングに戻りソファに倒れ込んだ。
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