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架空線15
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ビニール袋にはレシートと紙袋に入ったままのゴムとローションが待っていた。
ペリリと包装を剥がしながらレシートを見ると、半年は経っていた。
アリマシタ。
ローションを振りながらベッドに戻る数歩で、俺は現実を思い知った。
彼は口を尖らせ、腕を組んで座っていた。投げ出された足の靴下よりも気になるのは、すっかり頭を垂れた疲れ姿のシロモノだった。彼は隠そうとはせず、俺に手を差し伸べた。
遅いっ!
強い口調の彼は優しく俺の手ひいたが、だき抱えられたのは強い力だった。それでも耳を覆うように回された腕は、昔ほど強くは感じなかった。
すまない…
圧迫された耳に、聞き間違いかと思うほどの小さな声がした。
手の中のローションボトルが落ち、開けたゴムの箱から中身だけが滑り落ちていく。彼のサイズに合うゴムだが、今は必要なさそうだ。
俺が彼の身体を抱き締めると、彼は俺の肩口に顔を沈めた。
悩んでいたに違いなかった。
いつからかは分からない。言えなかった。それは俺も同じだが、もっと深刻で繊細な悩みだったろう。
俺の知る限りで言えば、彼のは誰にも負けないマックスサイズに持久力を兼ね揃えた自信そのものだったはずだ。それに惚れ込んだのは、何も俺だけではなかった筈だ。ガタイの良さもあって切れ間なくお相手がいたようだった。一夜限りと近付いた者達は俺も含めて皆もう一度と彼を求めただろうし、「期待外れ」という捨て台詞を彼が耳にしたことは無かっただろう。出会った頃、近寄る者は一様に喰らうのが彼だった。断りもしないのは、選り好みせずともきちんと機能していたからだろう。
彼の言うとおり、昇進した頃 と言うと、少なくとも三年は経っている。年齢的衰えに加え昇級への焦りと責任が自信を失わせたのだろうか。
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