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架空線20
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まぁ、なんとなく予想はついていたが、結局のところ朝まで起きれなかった。
もうワンチャン は、互いに求めることすら出来なかったことになる。
とても一回戦だったとは思えないほどの全身疲労だ。ただ、頭は意外とスッキリとしている。
目が覚めた時、寝た時と同じ位置に彼は居た。おまけに俺の手は捕らえていた。
接触が行為に直結した…下半身に脳みそがあるような俺たちにとっては、身体の一部が絡むことはつまりセックスの一部だった。
適正な距離がわからなくなっていたのだろう。こんな風にただ手を繋いだ というのは、初めてのような気がする。
彼は繋がった手に強弱をつけながら、こちらを見ていた。ベッドでのこの至近距離も、久方ぶりだ。
まばらに出ている髭に白いものが混じっている。首筋に剃り残しの長い毛も見つけた。目尻の笑い皺が深くなっていて、首筋に日焼けではない肌の老化を目の当たりにした。
同じ家に住んでいたのに、こんなことにも気付かなかったんだな と思い息をつくと、それと全く同じタイミングで彼も息をついた。
お前の珈琲 飲みたい。
そう言った後で、はたと思い出した。このワードをいつも口にしていたことを。
繋がった手が外され、一糸纏わぬ彼がベッドサイドに立ち上がった。
イテ イテテテ
一回り細くなったが、けして痩せたわけではなさそうだ。明らかな筋力の減少。彼は腰をゆっくり回して、脇腹に肉のついたその身体で台所に向かった。
珈琲をいれてきてくれた彼が、変な動きでマグを持ってきてくる。笑いながら痛がる不思議な表情に俺も口元が緩む。
ちゃんと目 覚めたのか?
あぁ。珈琲の良い香りだ。
なんだ、寂しくて起きたんじゃないのか?
ハハ 一発屋の格好つけかよ?
しかも、既に腰が馬鹿になった気がする…
互いに、老いたもんだな。
手渡された珈琲カップに口を寄せる。
一口飲みながら、互いに腰や首に手をやる。どことは言わず痛いのだ。
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