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手洗いうがいを済ませる横で長岡は欠伸を噛み殺しながらコーヒーを煎れている。
「お疲れですか?」
「んな事ねぇよ。
ただ、赴任したばっかだしな。
肩に力はいっちまうんだよ。」
長岡はケルトを置くと、心配気に見詰める三条の頬を両手で掴むとむにむにと揉み弄りはじめた。
肉付きは悪いが長岡は飽きずに撫でくり回す。
「でも、癒しがいるから大丈夫だ。」
今度は正面から抱き締められた。
胸いっぱいの長岡のにおいに三条の尻尾が揺れる。
「雨のにおいもすんな。」
「雨ですから。
連休中はダラダラしてください。
俺がお世話します。」
「下の世話も?」
顔を真っ赤にした三条は長岡の肩に顔を埋めて隠した。
そんな恋人が可愛くて可愛くて仕方がない長岡はご満悦でキスを強請る。
顔を隠したままで、まずは耳。
こめかみにキスをされると、三条はもじ…と身じろいだ。
「口にもしてぇなぁ。」
「…俺も、」
「じゃあ、顔あげな。」
赤くなった顔を見られるのは恥ずかしいが、それよりもキスがしたい。
この人のぬくもりに触れたい。
埋めていた首から顔を上げるとすぐに自分の唇に長岡のそれが触れた。
長岡とのキスはふわふわする。
しあわせでいっぱいになって、気持ち良くて、何度しても足りない。
「なんかすげぇ久し振りな気ぃすんな。」
「キス魔…」
「キスマ?
付けてやろうか。」
こんなやり取りさえ嬉しくて仕方がない。
「…………後で、お願いします、」
「ははっ、お願いされました。」
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