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ただいまと先にドアを潜った長岡の背中が目の前で止まった。
後ろ手でドアを閉める三条を迎えてくれるのは大好きな笑顔。
「おかえり、遥登。」
「ただいま。
です。」
綺麗な顔が近付いてきて、唇にやわらかなものが触れる。
「飯と風呂、どっちにする?」
「…え、っと……まだ時間も早いですし、正宗さんといたい……な、なんて」
長岡のにおいでいっぱいの空間で長岡のぬくもりに触れられるしあわせに浸りたい。
家族も大切だが、長岡も同じだけ大切だ。
この答えは選択肢にはないけど良いだろうか。
伺う様に見上げれば、わしゃわしゃと髪を乱され、長岡は嬉しそうに手をひいた。
「いちゃいちゃしような。」
「はい。」
小さくしか出来ないがきちんと長岡の耳に届いた返事に手を握る冷たいそれに力が入る。
握り返すと、染めたての綺麗な髪が動く。
「遥登の手あったけぇな。」
「正宗さんは冷たいです。」
「嫌いか?」
「大好きです。」
「ははっ、大好きか。
俺も、大好きですよ。」
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