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久し振りのまともな朝飯を目の前にした長岡は手を合わせる。
三条と付き合ってからすっかり癖になった行動。
三条は難しい年頃でもきちんもマナーを守る。
そして、素直にありがとうと感謝しごめんなさいと謝罪出来る。
当たり前の事を当たり前に出来るのはやっぱり格好良い。
「いただきます。」
「いただきます。」
朝から味噌汁にありつけるなんて贅沢だ。
春野菜の甘味の効いた味噌汁を啜りながら朝の情報番組を流す。
今日は何の日だ、どんなイベントがある、楽しそうな動画と共に紹介されるが2人は今日も引きこもる予定。
だが、それが良い。
「うめぇ。」
「お口に合って良かったです。」
「ありがとな。
昼飯は俺が作る。」
昼飯、と言ったところで思い出した。
「今日は病院行かなくて良いのか?
行くなら送るぞ。」
「あ、そういう意味で起こした訳ではありませんよ。
直接会いに行かなくてもスマホでやり取り出来ますし。
それに、写真送られて来るんで弟の顔も見れてます。」
にこやかな顔でスマホを指差した三条。
昨日、帰宅時に家族全員で写真を撮ったと言っていた。
今は手軽に写真も動画も撮れる。
それをアルバムにする事も手軽だ。
そうか、三条達はそうやって育って、育っていくのか。
9歳の年の差が大きく感じる。
「なぁ、俺とも撮ってくれるか?」
「はいっ。
沢山、撮りたいです。」
沢山撮ってきたがもっと沢山撮りたい。
そんな我が儘を言っても笑顔で受け入れてくれる。
「沢山な。」
「沢山です。」
「遥登ってすげぇ甘やかしてくれるよな。」
「そうですか?
それを言うなら正宗さんも俺の事を甘やかしてばかりですよ。」
にこにこ笑いながらたまご焼きを口に運んだ三条にあ、と口を開いて見せれば甘いそれが運ばれてきた。
ほら、やっぱり甘やかす。
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