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「遥登。
起きろ。
朝飯冷めんぞ。」
「あさめし…」
ベッドが軋んだ事にも気付かず気持ち良さそうに眠っていた三条は、恋人の声に朝を知る。
眠い目を擦ると、ベッドに腰掛け自分を覗き込んでいる綺麗な目と目があった。
視界には長岡と天井が少しだけ。
目が覚めた瞬間この目を見られるなんて贅沢だ。
「なんで起こしてくれなかったんですか…」
「昨日のお返し。
朝飯作ってくれたからな。」
「折角2人で寝てるのに1人で起きるの、寂しいです。」
「そんな事言って…、朝から誘ってんのかよ。
でも、そうだな。
1人で寝かしちまったな。」
サラサラと髪を弄る長岡はうんと優しい声で名前を呼んだ。
そんな声狡い。
自分の好きな低くて甘い声なんて朝から溶けてしまう。
「どうしたら許してくれる?」
「怒ってませんよ。
…あ、でも」
「でも?」
少しだけ我が儘を言いたい。
「……抱き締めてくれたら、嬉しいです」
「ははっ、かわい。」
身嗜みを整えた長岡は髭もなく何時もの恋人の顔で抱き締めてくれた。
子供っぽいだとか暑いだとか言わず、ただ優しく包み込む様に背中に手を回す。
「おはようございます。」
「はよ。
遥登。」
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