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インスタントコーヒーをマグに落とすとお湯を注ぐ。
そんなありふれた行動の1つひとつも、隣に恋人がいると色を変える。
「牛乳いただきます。」
「どうぞ。
あ、俺も貰う。」
熱々のコーヒーに冷たい牛乳を注ぎ温くしたそれに、長岡は更に氷を追加した。
「遥登もいるか?」
「ありがとうございます!」
「ん。
どういたしまして。」
三条を調理スペースに上げるとその目の前でコーヒーを啜る。
「あ…」
「もう19歳か。
此処に座んなくても殆ど視線同じだし、嬉しいような寂しいようなってしみじみする。
在学中にすげぇ伸びたしな。」
「そんな事思ってたんですか…?」
「まぁ、一応担任だったし。」
長岡は真面目な人だ。
そんな事知っている。
だけど、今の話を聴いてよりそう思った。
生徒の成長を寂しいと思ってくれている。
そして、同時に嬉しいと。
本棚のファイリングも、参考書の類いもその証拠だ。
「正宗さんは、自慢の先生です。」
「マジか。」
「はい。
マジです。」
嘘はない。
胸を張って言える。
自慢の先生だ。
なんせ俺の目標でもある。
腕を引いて近付いて貰うと感謝の気持ちを伝え、抱き締めた。
「可愛いな。
はるちゃんはまだ未成年だもんな。」
髪を梳かれその手のあたたかさに身を任せる。
あたたかくて大きな人。
いいにおいがして、格好良くて、最高の恋人だ。
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