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「ん……、まぶし…ぃ」
一瞬、目が眩んだ。
「起きたか。
具合はどうだ?」
そして、それに負けない程綺麗な顔が視覚に入った。
ネクタイを外しただけで、ヘアセットもそのままの恋人。
会いたかった長岡正宗だ。
思わず手を伸ばした。
「正宗さん…」
「ん、俺だよ」
そこでやっと部屋が涼しい事に気が付く。
「あ、すみませ…」
「寝てろ。
起きんな。
ソファも部屋に来たのも迷惑じゃない。
寧ろ頼ってくれて嬉しい。
だから、そのまま横になってろ。
今、飲み物持ってくるから……どうした」
図々しくも押し掛け、それどころかシャツを借りて。しかもソファを占領してしまっている。
起きようとすると身体を押されソファに横になる様促された。
大丈夫なのに。
長岡はすぐに待ってろと腰を上げる。
離れないで欲しい。
傍に、体温がわかる所にいて欲しい。
ぱっとワイシャツを掴むと、その手を大きくて冷たい手が握り返してくれた。
「此処に居る。
俺のコーヒーで良いか?」
握り返したのとは反対の手で、子供をあやす様に頬を撫でられる。
触れる手が気持ちが良い。
長岡の手だとすぐ解るそれに三条の心はどんどん落ち着いていった。
あんなに早鐘を打っていた心臓も弱っていた心も、何時ものものへ変わっていくのがわかる。
手渡されたコーヒーで喉を潤す間もその手は離れない。
「泊まっていけ。
ご両親には連絡出来るか?」
それは甘え過ぎだ。
でも…と吐こうとした口を塞がれる。
苦い味がした。
甘くないコーヒーの味。
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