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「正宗さん、気を付けて行ってください」
「ん、いってきます。
冷蔵庫の中の飲み物持っていけよ。
絶対な」
「はい。
ありがとうございます」
上がり框の分だけ背丈の高くなった三条の頭にぽんと触れる。
自分より視線が上の三条は何時もの笑みをたたえている。
昨日の今日で心配がないと言えば嘘になるが、信じる事も大切だ。
この子の事は信頼しているし、信じ切れる。
だけど、自分より友人や家族を大切にする節のある子だ。
目を離したくない。
それを咎めるつもりはない。
遥登の良い所なんだから摘み取る様な真似はしない。
だから、自分がその分遥登を見ている。
遥登が誰かに優しくする分だけ、俺が遥登に同じだけのモノを分けたい。
「気を付けてたってなるときゃなるんだからあんまり気にすんな。
俺がなったら遥登頼るから、な」
「はい」
対等な恋人同士なんだからそんなのはお互い様だ。
なぁなぁなのはまた違うと思うが、お互いがお互いを支え合うのは当たり前。
触り心地の良い髪をもっと触っていたいが、生憎今日も仕事が忙しい。
そろそろ出なければ。
でも。
「遥登」
髪を撫でいた手を此方に引き、ちゅぅっとキスをする。
唇の隙間から舌を潜り込ませ、舌を舐めて唾液すら奪うように深いやつを。
段差の分だけ高くなった口からそれを奪う。
「…っ!?」
突然の事に驚き動けなくなった三条の唇をぺろっと舐めると、長岡は嫌みのない笑顔を向けた。
「うし、いってきます」
「…え、は、い…いってらしゃい…」
顔を真っ赤にした三条はヒラヒラと降られる手に何度も頷いたのを確認してから玄関ドアを開けた。
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