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やっと試験も終わって夏休みだ。
これで、少しは吉田とも会える。
足取り軽く知佳ちゃんと生協に歩く道すがら。
「浴衣…?」
「そう。
来週の花火大会、良いなぁって」
花火大会のポスターを前に知佳ちゃんは良いなぁと足を止めた。
背景にするのは勿体ない程の大輪の花の上に夏祭り、そして花火大会の文字。
夏の楽しみの1つだ。
花火大会か
去年一緒に見た花火、すげぇ綺麗だったよな
並んでそれを見ながら、浴衣姿の長岡と花火観賞出来たら良いなと思う。
長岡は浴衣姿もすごく格好良かった。
あの時は旅館の物だったが、それでもとても良く似合っていてすごく男らしくてドキドキした。
チラチラと覗く素肌が官能的で、普段見られない箇所が見えるのは正直そそる。
「男の子的にはどう?
浴衣着てくると歩くの遅いなぁとか気合い入ってるなとか思う?」
「俺は思わないよ。
自分の為に着てくれてたら嬉しいし、可愛いなって思う」
そのままでも十分素敵なのに、時間をかけて着飾ってくれる。
時間を使ってくれる事が嬉しい。
可愛い、綺麗だと思われたい、その気持ちが愛おしい。
彼女が、彼氏が、付き合う前だとしても。
素直にそう思う。
「三条くんっぽい。
ま、未知子と行くんだけどね」
「本当に仲良いね」
「三条くん達だって仲良いよ。
私だって吉田くんと離れて寂しいなって思うもん。
やっぱり3人揃ってた方が良いなぁって。」
夢の為に頑張る友人は勿論誇らしい。
だけど、少しだけ寂しい時もある。
それだけの時間を3人で過ごしてきた。
今更それを痛感する。
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