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「遥登、いただくな」
「どうぞ」
手を合わせるとプラスチックのスプーンで一口分掬った。
「お、うめぇな。
寒天うめぇぞ」
「んま。
あんこも甘さ控え目で豆の味がして美味しいですね」
歯触りの良い寒天はすっきりしていて喉ごしも良い。
これぞ夏の味だ。
あんこだけを掬って食べる三条は美味しいと無邪気な笑顔を惜し気もなく見せていた。
19歳になろうが弟が産まれようが、変わらない笑顔は長岡をしあわせにする。
「はるちゃん、あーん」
悪戯気に口角を上げる長岡を見てから、いただきますとそれに食い付いた。
餌付けと称し沢山食わせてきたお陰で最近はあまり遠慮をしない。
それに、今日は自分から半分こと言ったのお陰でハードルが下がっている
「あ、こっちも美味しい」
「間接キス」
「変な言い方しないでくださいよっ」
「本当だろ。
間接キス」
「か、間接キス位、平気です…っ」
何を言うか。
顔が真っ赤だ。
くそ可愛いな
「ふぅん?」
ぱくっと自分の分の抹茶味の寒天を食べる三条を横目に長岡は唇を撫でた。
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