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「滲みねぇか」
「大丈夫ですよ」
長岡は皮の剥けた傷に消毒液を吹き掛ける。
真っ赤に腫れた歯型は独占欲で済むものじゃない。
やり過ぎたと反省する長岡とは反対に、三条はにこにこと何時もの笑みをたたえていた。
寝た事で体力は大分マシになったし、傷だってすぐに治る。
「悪かったな。
風呂痛かっただろ」
「あの…なら、と言うのも違うんですけど、もう1日泊まっても構いませんか…?」
綺麗な目を大きくした長岡に駄目押しのキスをする。
「ご迷惑なら帰ります。
でも、今日も正宗さんと一緒に寝たいです」
「良いに決まってんだろ」
昨日も泊まったから気にしてくれているのは解る。
卒業した今でも生徒の時と変わらず家の事も心配してくれる。
嬉しいけど、俺だって傍に居たい。
一緒に飯を食べて本を読んで寝て、おはようと言いたい。
我が儘なのは解っているけど、俺だって正宗さんが好きだから。
「昨日も泊まってくれたのに良いのかよ。
あ、だからアイスも飲み物も多かったのか?」
「へへっ」
「すげぇ嬉しい」
頬を撫でる冷たい手が気持ち良い。
その手に同じものを重ね、すり…と頬ずりすると、長岡の目がやわらかくなった。
愛おしいものを見る優しい目。
そこに写る三条もまた同じ目をしていた。
「泊まってくれ」
「もう1泊、お世話になります」
「ん、お世話します」
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