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ベッドに入る細い身体を抱き締める。
骨に皮が張り付いているかと思う程ガリガリだが、あたたかい。
「あったけぇな」
「暑くないですか?」
「ん、大丈夫。
遥登も暑かったら言えよ。
冷房の温度下げるからな」
離すんじゃないのかと笑うと、愛おしそうな目がまっすぐに三条を見た。
この体温が愛おしいと思うのは、この子の体温だからだ。
ガリガリの身体とあたたかな体温、清潔なにおい。
“遥登”だと解るそれらに包まれる事がどれ程しあわせか。
「遥登」
「はい?」
「呼んだだけ。
本当に泊まってんだな」
「泊まってますよ。
一緒に寝たいって言ったじゃないですか」
尻尾が大きく揺れているのを隠さず嬉しそうにしている。
「ん、そうだな」
「そうですよ」
この子の愛情はきちんと伝わっている。
恥ずかしがり屋で激しい愛の言葉を言う事は少ないが、愛されていると実感する。
なんせ分かりやすいからな。
見ていれば解る。
「遥登は祝日生まれで良いな。
俺なんて新学期に当たる事が多いから誕生日も仕事だぞ」
「高校生の時はそれでも良かったですけど、今は少し悔しいです」
「悔しいって…」
「あ、でも来年も俺が1番に祝います」
来年も、そんな何気無い言葉が嬉しくてたまらない。
来年も再来年も1番は遥登が良い。
ずっと、遥登が良い。
「楽しみにしてる」
「はいっ」
満足気な三条は腕枕に頭をそっとのせ嬉しそうに口角を上げたまま抱き締めてくれた。
その心地の良さに良い夢が見られそうだと長岡は目を閉じた。
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