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「なんで兄ちゃんはまだ夏休みなんだよっ!」
「さぁ?」
玄関で優登は兄と別れたくないと必死に食い付く。
兄は何時ものようににこにことそれをあしらっていた。
狡い、羨ましい、と言いつつもちゃんと登校する。
何時もの持ち物に加え課題も入った、学校指定の鞄は重そうだ。
「気を付けて行ってこい」
綾登を抱きながら頭をぽんと撫でた。
兄弟の中で自分ばかりが学校。
寂しいというか疎外感を感じるよな。
気持ちは分かる。
「帰ってきたらゲームしような」
「…うん。
いってきます」
とぼとぼと歩く後ろ姿にもう1度声をかける。
「優登、アイス食いながらしような」
「うん。
いってきます」
ひらひらと手を振ると、今度はしっかりと頷いた。
「行ってらっしゃい。
気を付けてな」
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