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「長岡さんが赴任してきてから生徒の出入り増えましたよね。
賑やかになりました」
「そうなんですか?
すみません、教え方合わないですかね…」
前の学校はそこそこの進学校だった。
クラスの殆んどが進学希望者。
レベルも高い。
此処は平均的なレベルの学校。
ノートを作り替えたりしているが、合わないのだろうか。
教え方を変えるべきか。
「いや、多分、長岡さんに会いに来てるんです。
その写真も噂になってますよ」
そう歳の変わらない同輩はその写真、とA組と写っている写真を指差した。
パソコンの隣に置かれた大切な写真。
この写真…?
キャラクター物のネクタイを締めてはいるが、この写真じゃわからないだろう
何を見てるんだ…?
花か…?
「何時もクールな長岡さんのまた違った1面が見れるって、女子生徒達が話してました」
「クールって…」
「綺麗な顔ですからね。
俺も長岡さんみたいな顔に生まれたかったですよ」
そう言いながら同輩は飯を口に運んだ。
そもそも、長岡は自分の顔なんかに興味はない。
自分からは見えないし、見えたって顔より本が良い。
だけど、三条が好きだと言ってくれるから、気に入ってきた。
ただそれだけのもの。
この顔ならこの顔なりに色々あるのだが、隣の席の国語教師は知らない。
世の中そんなものだ。
つい無い物ねだりをしてしまう。
長岡も弁当箱の蓋を開けた。
今日は白身魚のフライに野菜餡が掛かっている。
いただきます、と手を合わせるのは恋人の行動が移っただけ。
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